光造形3Dプリンターとフレキシブルレジンでベレー帽を作る

作ったもの

ミニベレー帽を作りました。

レジン布ベレー帽(裏面)
表面
ぬいぐるみに被せたところ
硬化しても柔らかいレジンを網目模様で出力すれば、布っぽいものを印刷できるんじゃね?という雑なアイデアから作ってみたのですが、結構うまく出来た気がします。 光造形3dプリンターを使って生地を出力、テグスで手編みしてみました。

生地は手で簡単に曲げられる程度の柔らかさ。適度にハリがあるため、芯地不要で成形しやすかったです。
メジャーと縫い針を使わず、ペンチで大きさの修正ができるので、工作しやすい生地に仕上がりました。

柄はペンローズタイルのP2です。
かわいいですね (蜘蛛の巣とか虫の卵とか言ってはいけない)。
en.wikipedia.org
最初はDreamFusionとShap-Eでモデリングを試したんですが、細かな調整が面倒だったのでFusion360で作りました。(といっても押し出し機能しか使ってませんが......)

作り方

作った時のメモです↓↓↓
0. 用意するもの
1. モデリング
ペンローズタイルのpng形式の画像からsvgに変換し、Fusion360にインポートして押し出す。stl形式でエクスポート。以上。
押し出したペンローズタイル

プリンターの出力サイズに合わせて分割しておきます。
2. スライス
CHITUBOXでstlファイルを開いて、出力設定をしていきます。
今回はオブジェクトのスケールを直径12.0cm、高さ0.26cmに設定しました。
底面にサポートをつけます。
サポートをつけたペンローズタイル柄の生地
レジンをケチりたくて、デフォルト設定より1mm~2mmほど薄め・小さめにしたらプレートから剥がしづらくなって痛い目を見たので、設定はそのままがおすすめです。
ctb形式で出力してUSBメモリに保存、3dプリンターに接続します。
3. 出力・洗浄・硬化
Now printing...

z軸方向に薄い (本体2.6mm+サポート10mm) ので、20~30分ほどでプリントが完了します。
出力が終わったら、中性洗剤と有機溶剤で洗浄し、UVライトを当てて硬化させます。
洗浄と硬化を済ませた生地
おお、レースっぽい!いい感じに布感が出ています。
4. 編む
柔らかく、手でグネグネ曲げられます。ハリもあり、まるで芯地を入れた布みたいな硬さ。いいですね〜。
不要な部分はラジオペンチでぱちんと切って整えます。後から形を変えられるので、設計&裁縫ズボラ向きですね......。
不要な部分をカットしているところ。プラモじみてきた。
部品をテグスで編んでいきます。
5. 補強
このままでも良かったのですが、見栄えと補強のため、内側に芯を入れます。
缶のフタにレザーを貼ってみました。あまり目立たない部分なので、両面テープで適当に貼り合わせます (あまりに雑なので細部はみないで......)。
缶のフタに端切れレザーを貼った
芯は布やフェルトでも良さそうですね。
6. 完成
編んだ生地を裏返して、缶のフタを内側に取り付けたらベレー帽の完成です (画像略)。
ぬいぐるみにモデルになってもらいましたが、人間もミニベレー帽として被れます。

制作経緯

昨年(2022年)、布に印刷できる3dプリンターが発売されたと聞いてテンションが上がったのがきっかけです。
news.sharelab.jp こちらは当然ご家庭用の製品ではないのですが、このプレスを見て「3dプリンターを使った洋服作り」をやってみたいなーと思ってました。

服を3dプリントする試み自体は10年前 (2013年頃) から存在し、実際にパリコレなどで3dプリントウェアのコレクションが発表されています。
i-maker.jp ものづくりの業界で3dプリンターといえば試作のイメージが強いですが、この例では "一点モノ" を作るのに適していそうに見えますね。
おわりに
ご家庭用の3dプリンターでも布っぽいものは作れる!服っぽいものも作れる!を示せて満足です。
他の柄でもレースを作れそうですし、何かまた作りたいですね。
秋の休日はこれを被って出かけるぞー。